4・6新宿デモレポート完結編「伝説のデモ」
着替えようの荷物とアンプを引きずる義春。
出発直前のあの空気で すっかり気勢をそがれたデモ。
先導する警視庁のワゴンと 警官が道を止めて車道を歩く
マイクのスイッチをONにする。
三島由紀夫の格好をして叫んだ。
「聞け!聞けぇ、諸君!私は三島由紀夫MarkⅡである。
諸君、今の日本に蔓延るアダルト産業。声をあげることなく好きなようにやらせていいのか。
アダルト産業を否定するわけではない。ただ、これでいいのか、なにひとつ声をあげなくていいのかと言っている。
見たまえ、このデモの参加者は二人である。
諸君達は武士だろう。武士ならばだ!
なぜこのデモに参加してくれなかった!!!」
うまいこと三島由紀夫のあの伝説の演説のような状況になっていた。
歩道を歩く人々や車の運転手たちがこちらを見ている。
写メールを撮っている人もいるし笑っている人もいる。
前を先導する警官の背中が なぜか途中からエールを送っているように感じた。
「こんな社会でいいのだろうか。
私は戊辰戦争のときに 官軍に立ち向かった会津藩になろうというのだ。
かつて司馬遼太郎は言った。
あの会津藩の戦いがあったから私は日本人を信用できる、と。」
「聞けぇ!私は三島由紀夫MarkⅡである!
こんな社会でいいのか。否、否、三度(みたび)否!!
三島なだけにィ!」
この「否~」という台詞は実はニーチェの「ツァラトゥストラはこう言った」
にたびたび出てくる言葉であり超人への意志を込めて使っている。
よし、今こそipodの音楽を出すときだ。
接続の悪い端子を歩きながらいじり なんとか音を出した。
同時に 三島からリアルシャアに換装する。
ちょうど大きな交差点にさしかかった。
交通を止めて警官が必死に誘導する。
「新宿を通行中の諸君!突然の無礼をお許しいただきたい。
私はかつてシャア・アズナブルと呼ばれた男だ」
道行く人に敬礼をしながら 演説を打つ。
「アムロ!私はお前のようにお笑い芸人をしていればいいわけではない。
お笑い芸人では体制に取り込まれてしまうだけだ。
それはエゴだと、
いや、これはデモだよ!」
と 去年の6・30アキバ開放デモでやったネタを復刻させる。
「ジーク日本!ジーク日本!ジーク日本!」
当然 誰もやってくれない。
大通りの向こう側にちょうど 手を振る人がいた。
よくみると それは 前に事務所でいっしょだった芸人
元クレイジータイフーンの「にしむらひよこ」ではないか
(知らねぇよ)
思わぬ出会いに テンションがあがる。
そして 今回のメインキャラでもあったコードギアスの
ゼロの格好をしたのだけど
歩きながらの衣装チェンジに手間取る。
その上 前がほとんど見えない危険な状態。
台詞もほとんどとんでしまい散々な出来だった。
ゼロのときの 大衆の反応が一番寒かった。
「お前たちも好きだろう?正義の味方は!」
「私が目指すのは正義の味方だ!」
この辺りが一番人が多い新宿駅だ。
空気を読んで 三島由紀夫に着替えた。
「聞けぇ!!三島由紀夫MarkⅡである」
「お前らそれで本当に自由か!
それがお前たちの自由ならば お前たちの語る愛もたかが知れている。」
「自由といいながら 欲望の奴隷になっていることがなぜわからないんだ。」
「私はこの国の哲学の底上げをしようというのだ」
「正義を語ることでなぜこんなにも孤独にならなければいけないんだ!」
「このデモを行なうにあたりアダルトに声をあげた人がいないことに
失望した」
「今、ブログやHPという強い武器がある。
我々が声をあげたことを記録してくれ。」
「この国は思考停止している。この今のスクランブル交差点みたいにィ!!!」
アドリブでライブ感を出すと結構おもしろいことができるような気がした。
そしてここでついに 尾崎豊の登場。
「お前ら自由か!自由でなけりゃ意味がないんだよ!
正義を語ることは孤独だった・・・
それでも俺は 負けなかったァ!!」
尾崎のライブのMCをアレンジした。
「セブンティーンズマップ!!」
「本当の愛や真実を探すんだ」
街角では少女が自分を売りながら!
あぶく銭のためになんでもやってるけど!
夢を失い愛をもてあそぶあの娘は 忘れちまった。
心をいつでも輝かせてなけりゃ ならないってこと!
ほとんど カラオケ状態・・・なんだこのデモは。
「僕たちのしていることが正しいかそれはわからない、
本当の幸せってなんだ。
生きる意味、ただ・・・ただ・・・このままじゃいけない。」
完全にアドリブで しゃべっていた。
言葉に詰まりながら叫んでいると 言葉よりさきに
涙が出そうになった。
中島みゆきの 「世情」のカラオケを流す。
あの金八先生2の ラストで有名な歌で
「シュプレヒコールの波~~」
という歌詞からして デモ用の歌なのだろう。
決起ライブで みんなで歌ったのだけど
今回は二人だ。
これで 50人くらいいたら そうとうおもしろかっただろうな。
「通り~す~ぎて~ゆく♪」
道行く人が こちらを見る。
ここだけ見たら なんなのかさっぱりわからないだろう。
なんで中島みゆきを 歌っている男が警察に守られているのだろう。
そしてゴールの西新宿公園広場に到着。汗だくの二人。
明らかに出発のときとは警察の人たちの表情が違っていた。
「お疲れ様。ここで解散だから。三島由紀夫を崇拝してるの?」
帰りの道も心配してくれて どうやら警察の人は喜んでくれたみたいだった。
「いや~、これで集まらないんだね。次にやるときはね、きちんと人数を集めて報告してね」
お疲れ様、と背広の偉い(と思われる)刑事さんが優しく声をかけてくれた。
この人たちも「正義」という言葉を久しぶりに聞いたんじゃないだろうか。
かつて 「素人の乱」の松本哉(まつもと はじめ)さんが
「3人デモ」という 警察を 挑発した行為をしたことがあった。
図らずもたった二人のデモになってしまったわけだが
これほどまでに抽象的な正義をストレートに声にしたことは意味があると思う。
撮影班がいなくて 義春に荷物と撮影をさせてしまった無理がたたり
ビデオの映像はほとんど録れなくて 音声だけになってしまうが一応アップしたいと思う。
疲れて車のある駐車場に戻ると
警察に呼び止められて職務質問を受けた。
「いや~ デモやってきたんですよ」
「それは知らないね。」
「それもたった二人だったんですよ」
やけに車の中を細かく 点検する警官。
最終的には 袖をまくらされて
注射の痕が ないか調べられた。
失礼な警官。
おそらく「二人でデモをした」
なんてことを 信じることができなくて虚言だと思ったのか。
逆に言えば 「信じられないことを本当にやりとげた」ともいえる。
とにかく「たった二人のデモ行進」は終わった。
これにより 「初めてアダルトに抵抗したデモ」として記録に残ることになるだろう・・・か。
情熱だけで突っ走った4・6新宿デモ
ちょうどその日にバイトの合格通知を受けた義春のために
近所で焼肉を食べた。
尾崎豊の「自由なれた気がした15の夜」
ではないが、
少しだけ世界が変えられたんじゃないか、
そんな気がした29歳の夜だった。
「世界を変えた気がした29の夜~♪」
話が少々大きすぎたようで。
(完)
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コメント
ただの迷惑行為じゃん。
>>明らかに出発のときとは警察の人たちの表情が違っていた。
それって哀れみじゃね?
投稿: | 4月 09, 2008 08:13 午後
『ツァラトストラかく語りき』な
投稿: | 4月 09, 2008 08:23 午後
ツァラトストラ~は
出版社によって題名が微妙に違うんです。僕が買ったのが「こう言った」だったんですよ。
僕も「かく語りき」
のほうがかっこいいと思いますし、
一般的ですよね。
投稿: ウェルダン穂積 | 4月 10, 2008 08:58 午前
税金払ってない人が、公務員を使わないでください。
いくらかかってると思うわけだ?あんたらのくだらない行為で。
人件費、ガソリン代。
おまえらみたいなのがいると本当に迷惑だよ!
投稿: | 5月 03, 2008 12:26 午後